弁護士の池田賢太です。

 当事務所の、池田と塚越は、標記の声明に賛同しました。この共同声明は、日本弁護士連合会の会長経験者11名を含む呼びかけ人132名(日弁連事務総長経験者5名と副会長経験者116名)と、全国1187名(1月17日22:14現在)の弁護士が賛同しています。呼びかけ人と賛同人は、こちらから確認ができます。

 私は、過去にいくつもの声明に賛同人として名前を連ねたり、あるいは呼びかけ人となったことがありますが、ここまで多くの全国の弁護士が名前を出して声明に参加することは珍しいことです。
 私自身は、生活保護費引き下げに関する訴訟(いのちのとりで裁判)の北海道訴訟の代理人の一人を務めていました。ですが、塚越弁護士をはじめ、この訴訟に関わった弁護士だけが賛同人になっているわけではありません。日弁連の正副会長経験者のなかにはビジネスロイヤーと呼ばれる弁護士も多数含まれているのですが、そういった弁護士たちもこぞって賛同しているのが、今回の声明の大きな特徴です。

 毎日新聞の報道には、次のようにありました。

 声明は、今回の減額調整について「行政が司法の判断を黙殺するに等しいものだ」などと批判。全ての受給者に最高裁判決が取り消した減額よりも前の基準との差額支給を求めた。

 中本氏は記者会見で「今回の対応を認めれば三権分立が崩れてしまう」と危機感をあらわにした。日弁連元副会長の新里宏二弁護士も「これだけ多くの弁護士が声を上げたのは、司法に携わる者として許せないという思いを共有したからだ。日本の根幹を崩しかねない重要な問題だ」と話した。

毎日新聞 国の生活保護費減額調整 日弁連元会長ら撤回要求 「司法判断黙殺」
2026/1/15 19:56(最終更新 1/15 19:56)

 この記事の中本氏、というのは中本和洋元日本弁護士会連合会会長です。私もそう思います。生活保護の切り下げが違法と判断されたのですから、元に戻すことが必要です。それにもかかわらず、戻しもせずに、「あれがダメなら、こっちで引き下げてやろう」というような政府の姿勢を許してはいけないと思います。これでは、何のための裁判なのか、ということになってしまいます。政府が率先して司法を軽視するようでは、この国の制度そのものが成り立たなくなってしまいます。

 この政府の判断の背後には、生活保護者への差別は許されるという私たちの考えがあるように思います。政府がこのような判断をしても、これを是認してくれる人たちが多くいる、世論は政府の側に立つという甘い見通しがあるのだろうと思うのです。これは、この社会において根強く残っている生活保護者へのバッシングが根底にあるからだろうと思うのです。
 今回の声明は、司法の判断を無視するな、という政府へのメッセージとともに、すべての人達に対し、すべての人の人権が、あるいはその尊厳が、平等に取り扱われなければならないというメッセージも含まれているのです。