判例紹介

大量懲戒請求訴訟 一部被告と和解

 すでに北海道新聞などで報道されていますが、私たちに対する大量懲戒請求についての損害賠償請求訴訟で、一部の被告と和解をしました。

和解条項は、以下の通りです。

  1. 一審被告ら(選定者含む)は、ブログ余命三年時事日記(以下、「本件ブログ」という。の呼びかけた本件大量懲戒請求を行ったことについて、一審原告らに対し、深く反省し、真摯に謝罪する。
  2. 一審被告らは、もとより人種、皮膚の色、世系または民族的もしくは種族的出身に基づくあらゆる区別、排除、制限又は優先であって、政治的、経済的、社会的、文化的その他のあらゆる公的生活の分野における平等の立場での人権及び基本的人権を認識し、享有し又は行使することを妨げ又は害する目的又は効果を有する行為(あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約(人種差別撤廃条約)第1条第1項、以下、「人種差別行為」という。)を一切支持せず、人種差別を扇動するデモ等の言動に参加したことはないし、今後も参加しない。
  3. 一審被告らが本件ブログを呼びかけた一審原告らへの懲戒請求を行った以降に本件ブログの記事に第2項に指摘する差別的言動が掲載されたものがあることを確認する。
  4. 一審被告らは、本件ブログのこのような差別的な記事や活動を今後も支持しない。
  5. 一審原告らは、一審被告らから解決金として一審判決に基づく117万9454円を受領した。
  6. 一審原告らは、その余の請求を放棄する。
  7. 一審原告らと一審被告らは、一審原告らと一審被告らとの間には、本和解条項に定めるもののほか、本件に関し、何らの債権債務がないことを相互に確認する。
  8. 訴訟費用は、第1、2審とも各自の負担とする。

 本件大量懲戒請求については、別途記事化する予定です。

 今回の和解は、上記内容で合意できた一審被告らとの間でなされたもので、逆にいうとこの内容でも合意できなかった一審被告らとの間では、本年7月28日に判決が言い渡されます。

 私たちが、この和解条項を受諾したのは次の理由からです。

 まず、大量懲戒請求後ではあるものの、本件ブログに人種差別的言動があることを一審被告らが認め、本件ブログの不支持を明言した点にあります。

 この和解条項は、一審被告らが私たちを懲戒請求した時点における本件ブログの記載について人種差別的言動をしていたかどうかについては触れていません。この点は、私たちにとって最大限の譲歩でした。私たちは、裁判の証拠の中で、大量懲戒請求以前から人種差別的言動がなされている本件ブログの記事を提出していますし、懲戒請求以前から人種差別的言動が繰り返されていると確信しているところですが、その点はあえて目をつむりました。

 それは、和解条項はある意味でオープンなもの、すなわち当事者たちがその意味を充てんすることができるものだからです。

 そのうえで、重要な第二点があります。一審被告らが、本件ブログを支持しないと宣言したことです。このような宣言をすること、つまり本件ブログとの訣別を記録することが重要だと、私たちは評価したからです。

 和解条項は、双方の思惑があるなかでの妥協の産物です。一審被告らは、もとより差別的言動をしていないというでしょうし、私たちはそうは思わないということができるようになっています。この点については、裁判所には何らの判断もさせていないし、双方で確定させたのは、懲戒請求後ではあるものの、一審被告らが本件ブログに人種差別的言動が含まれるものがあることを確認したという点です。

 本件和解条項には、その前提となる事実関係について裁判所の判断は示されていません。この点については、7月28日の判決に期待をしたいと思います。

 画像はハシバミ。ハシバミの花言葉は、「仲直り 真実 調和 直感 知恵 和解 一致 賢明になってやめなさい」です。